2024.08.05更新日

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医学部の地域枠って?学費を抑えて医学部を目指す方法?

医学部への入学の仕方はいくつかあります。通常の共通テストや大学独自のテストを受ける方法、推薦枠を使うといった受験の仕方の他に、地域枠を利用して受験するというものがあります。医学部の地域枠とはどんな仕組みなのでしょうか?また、この受験方法のメリットとデメリットとしてはどんなものがあるのでしょうか?こうした点を考えて、様々な入学法からあなたに最適な医学部進学法を探ってみましょう。

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1.医学部の地域枠受験について

医学部の地域枠受験というのは、卒業してから指定された地域で医師として働くことを条件に、受験についての優遇措置を与えるという制度です。これは、1997年に始まった制度です。その目的は地域による医師の数の偏りを直すというものとなっています。いわゆる地方部ではどうしても人口や面積に対して医師が足りなくなる傾向があり、適切な医療サービスを提供できない恐れがあります。そこで、医学部に進学する段階から、卒業後の活躍の場を指定することで医師の絶対数を増やそうとして生まれたわけです。

地域枠は多くの大学で採用していて、全体の90%程度の大学が何らかの形で制度を設けています。それだけメジャーになっているものですので、検討する価値はあるでしょう。実際に地域枠を利用してから医師になった人の数も増えています。2018年には2,293人となっていて、2024年には1万人弱まで増えると予測されています。多くの人が地域医療に貢献するために活躍していますので、地域枠を上手に利用して夢を叶えるのも一つの選択肢といえるでしょう。

また、入試の枠組みにとどまらず、地域枠は給付型や貸与型の奨学金がもらえるという点でも学生に便利なシステムになっています。主体となる自治体か大学が学費や一部の生活費を工面してくれます。給付型の場合はお金を返さなくてもいいのはもちろん、貸与型においても卒業後に一定年数その地域で医師として数年間勤務することで奨学金の返還が免除されるというケースがあります。

他にも、地域枠を選ぶことで受験そのものが有利になることも多いです。通常枠とは別に地域枠が作られますので、場合によっては競争率が下がり進学しやすくなります。もしくは、受験科目が減ったり推薦と組み合わせて進学できたりすることもあります。地域枠受験は全国で導入されている制度ですが、それぞれの地域や大学によって具体的な内容は異なるものですので、事前にどの大学でどんな条件での枠を作っているのかを確かめて受験することが大事です。また、地域枠利用に当たっての条件もそれぞれで違いますので、しっかりと確認しておかないと、後でこんなはずではなかったと苦労することもありえます。

ただし、どの大学でも地域枠を使えば受験が有利になるというわけではないので注意が必要です。全体的な傾向としては、都市部などの人気が高いエリアでは、勤務地が限定されているとしてもメリットが大きいので志望者も多くなります。また、奨学金が貸与され、しかもその条件が良いもの、たとえば生活費も貸与対象となるといったケースでも競争率が高くなります。奨学金返済条件も、一定年数の指定地域の勤務で全額免除となれば、それだけ経済的なメリットが大きいため人気が高くなります。このように、地域や制度自体のメリットが高い大学では、逆に志望者が多く集まり競争が厳しくなってしまうこともあるのです。

一方で、地方部で大学の知名度も高くないところでは、地域枠に対して希望者が少ないので受験は楽になります。同じように、奨学金がないとか、その対象金額が低い、返還条件が厳しいといったケースではメリットが少なくなるため、希望者は少なくなります。このように、地域枠は受験が有利になるとは一概に言えないところもありますので、気になる大学の募集要項を細かくチェックすること、過去の受験状況などをチェックすることが重要です。

2.地域枠の種類

上記のように、地域枠というのは、基本的に卒業後の進路についての条件が課されるのは同じですが、実施内容はいくつもの種類があります。

まずは奨学金をメインとした地域枠制度が最も多いです。入学時の入学金を給付する場合や、入学した後に希望者に対して選抜して奨学金を貸与する場合があります。こちらは純粋に奨学金をもらうだけの制度となりますので、受験そのものについての優遇措置はありません。

別の種類としては、奨学金が貸与されないケースです。これは、受験そのものについての優遇をする形式を指します。その枠に入ることができれば推薦入学とほぼ同じで、面接や小論文だけで受験が終わることや、受験科目を減らして受験できます。受験者の限定をしないところもありますが、大学がある地域の高校生のみを対象としている場合や、卒業生の子供のみを地域枠として採用している場合があります。しかし、地域枠受験の多くは卒業後の勤務についての義務が伴います。大学によっては、勤務先自体も決められていることがあります。いま主流である形式は、地元の公立病院や大学系列の病院が勤務先として指定される形式です。もう一つは、エリアが決められているものの、病院自体はどこにするかを自分で決められるというパターンです。

他には務める地域ではなく、務める診療科の指定がなされることもあります。日本では産科や小児科の医師の人材不足が深刻化しています。この傾向はどこにおいても一緒なのですが、特に地方部では厳しい状況が見られています。そのため、地域枠では卒業後に、一定期間された診療科目で働く義務を課すケースもあります。指定地域の中であればどの病院でも良いものの、別の診療科は選べないので範囲は絞られてしまいます。もちろん、その分野に進みたいと思っている学生であれば、ちょうど条件が合うので都合が良いでしょう。しかも、診療科限定の大学だと、志望者も少ない傾向にありますので受験を有利に持っていきやすいというメリットもあります。

このように条件が多いことが地域枠受験としてのイメージ強い今日、一部の大学では義務の履行を求めないところもあります。それは卒業後に違約金を払う方法です。あまりおすすめはできないですが、一般公開はされていないものの一部の私立大学では多額の違約金を払うことで就労期間短縮させることができます。どうしても自分のやりたいことを見つけた人のための制度ですので、最初からこの方法を使うことを決めて地域枠を利用するのは辞めましょう。

3.医学部地域枠のメリットとデメリット

他の学部ではあまり見られない制度である医学部地域枠という選択肢は、これから医師になろうと考えている学生にとって大きなメリットがあります。一般受験をするよりも受験そのもの、そして経済面での優遇措置を受けられるからです。一方で、条件付きの制度がほとんどなので、制約が課せられるというデメリットもあります。こうしたメリットとデメリットの両面をしっかりと認識して、その上で制度を利用するかを決定することが重要です。

メリット

医学部地域枠受験の大きなメリットは、やはり費用面の負担を減らせるという点でしょう。医学部は合計6年間の在学となり、6年間の学費が概ね国立大学で400万円、私立大学で2,000万円以上の学費がかかることがほとんどです。それだけ高額な学費をまかなうのはかなり大変で、経済的な負担ゆえに医学部を諦めざるを得ないという学生が多いのも事実です。しかし、地域枠では奨学金をもらえて、しかも条件をクリアすれば返還が免除されるわけですからメリットは計り知れないものがあります。能力と意思はあるものの、学費面で難しさを覚えていた生徒には希望を与える制度と言えます。

また、入学しやすいというのもメリットです。一般選抜とは異なる枠で地域枠が作られていますので、競争率が低いところもあるのです。指定地域で働くという条件があるため、中には地域枠についての定員割れを起こしているところさえあります。もちろん、どこで働くかということについての希望が合えばということになりますが、入学を有利に進められるというのはとても助かるところでしょう。また、入りたいと思っている大学の一般入試の競争率が高くて自分の現在の学力では厳しそうだとしても、地域枠なら見込みがあるというケースもあります。そのため、諦めることなく、一度希望する大学に地域枠がないか、例年どのくらいの競争率となっているのかを調べてみると良いでしょう。

卒業後の進路という面でもメリットがあります。大学によっては、最初から公立病院への勤務が条件付けられています。逆に言うと、進学時点で勤務先が決まっているようなもので、進路に悩まなくて済むわけです。また同じ大学の仲間と一緒に働ける可能性も高いため、忙しい研修医の期間も仲間と共に助け合えるでしょう。

デメリット

たくさんのメリットがありますが、一方で地域枠受験にもデメリットがあります。やはり卒業後の勤務についての制約があるというのは、自分の意思で決めたいと考えている人にはデメリットとなるでしょう。多くの場合、指定されるエリアは地方部ですので、全体的な傾向としてはあまり医師の人気が低いところです。また、中には産科や小児科などの診療科目の指定もされるケースがあります。自分がしたい専門分野と違う分野に進むことはモチベーションの低下にもつながるため、一生涯続ける仕事であると考えるとかなり危険です。

条件をクリアしないと奨学金を支払わないといけないというデメリットもあります。トータルで貸与される奨学金はかなりの金額となりますので、それを支払うとなるとかなりの負担です。進学したもののいろいろな都合で、医師にならないことにしたという人も一定数います。医師国家試験に合格できなかったとか、体を壊したり家族の事情で他の仕事を選ばざるを得なくなったりしたというケースもあるのです。もしそうなった場合の奨学金返済という金銭的な負担は、かなり大きなものとなってしまいます。大学側が指定する地域での勤務は、通常6年間、長いところでは10年間続ける必要があります。その条件をクリアするのは簡単でないこともありますので、よく理解しましょう。

4.まとめ

医学部の地域枠とは、卒業後に大学もしくは自治体が指定する地域で一定年数働くことを条件に、奨学金をもらうなどの優遇措置を受ける制度です。一般受験枠とは別なので入学しやすいという利点もあります。デメリットも理解した上で、賢く利用して夢を叶えましょう。

(情報は2024年8月現在。)

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