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医学部の学費が免除されるには?
日本の医学部は6年制で、他国に比べて学費が高い事で知られています。特に国公立よりも狭き門である私立大学は、非常に学費が高く、その事が医学部への進学の障壁となってしまう場合が多くあります。
しかし、そのような理由から優秀な人材を医師として迎えられない事は日本の医療にとって大きな損失となってしまいます。その為、実は医学部の学費が免除される制度を持つ大学が多数存在するのです。経済的な問題で、医学部受験をするべきか、やめるべきか悩んでいる方は、ぜひこの記事を参考にしてみてください。
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1.医学部の学費相場は?
医学部の学費は、国立か、公立か、私立かによって大きく異なります。まずはそれぞれの相場を見ていきましょう。
1-1.国立大学の医学部の場合
国立は入学金と授業料が一律となっており、初年度納入金は、入学金28万2,000円+授業料53万5,800円、6年間の学費の合計は、約350万円です。しかし、偏差値は60台後半~80程と非常に高いのが現状です。
1-2.公立大学の医学部の場合
2021年現在8校ある公立大学は、国立大学と異なり地域内と地域外の入学者で学費が変わることが特徴です。地域外の場合、地域内よりも若干学費が高くなります。入学金や年間授業料は大学によって異なりますが、6年間の学費の合計相場は、おおよそ400万円で国立よりも50万円ほど高くなっています。ただし、学費を節約しようと地域内へ引っ越すと6年間の家賃や生活費がかかるので、結果的に割高になってしまいます。
1-3.私立の医学部の場合
2021年現在私立大学は31校あり、学費がやや安い私立大学は、偏差値が高い傾向にあります。6年間の学費相場は、2,000万円~4,550万円程と国立大学の6~13倍と非常に高額です。これは、施設設備費や実験実習費を賄う補助金が国立大学よりも各段に少ないため、その分学生負担になってしまうことが理由としてあげられます。
国公立の大学の医学部は学費が安いことがとても魅力的に感じますが、私立大学は、教育カリキュラムが充実していることや、生徒と教師の近さなど、手厚い教育を行っていることが多いため現在も私立医学部受験の人気は上がり続けています。偏差値の高い国公立は学力的に不安、私立は学費の面で厳しいと医学部受験を選択肢からはずしてしまう前に、一度それぞれの大学の学費免除制度や奨学金制度を調べてみると良いでしょう。
2.医学部の学費が免除されるには?
大学によっては、ある特定の条件を満たすことで学費が免除される場合があります。まずは特殊なケースをご紹介します。
防衛医科大学校では、自衛隊を卒業後9年間勤務することを条件に学費が免除されます。さらに在学中にも防衛相の職員(国家公務員)と見なされるので、勉強をしていても給与が支給されます。また、制服や食事は貸与・支給され、全寮制なので生活費も嵩みません。さらには、防衛省の病院にかかれば、医療費も国から支払われます。
また、自治医科大学という選択肢もあります。こちらは、へき地の医療施設で、卒業してから9年間勤めることを条件に学費が免除されます。自治医科大学も同じく全寮制ですので、生活費の心配はありません。
上記の2つの大学は、入学試験が非常に厳しく、長く務めてもらう目的での制度であるため、20代後半以降の再受験は厳しい可能性が高いです。さらに、厚生労働省が導入した「地域枠入学」制度があります。これは、地方の医療不足を解消する目的で作られた制度で、医師免許の取得後、自治体が指定する医療機関に一定期間働くことが出来れば、奨学金の返済が免除されるというものです。
「無医村で働く医師になりたい」という学生にはうってつけの制度です。
しかし、これはあくまで貸付金制度なので、要件をクリアできず途中で退職してしまった場合には、利子を付けて制限期間内に返済しなくてはならないので注意が必要です。
3.奨学金や特待生との違いは?
奨学金制度は、学費を支払うのが経済的に厳しい生徒に奨学金を貸与する制度です。「貸与型」と「給付型」の2種類があり、返済の義務のありなしで違いがあります。基本的には、世帯収入や現時点での成績で利用条件を決められますが、給付型の方は条件が厳しい場合が多くなっています。
一方、特待生制度は、特待生として成績の優れた生徒を認定し、学費の免除、支給を行います。私立大学の医学部で多く導入されている制度で、経済的に医学部に通うことが困難な生徒も成績が良ければこの制度を利用して医学部に通うことができます。基本的には、入学試験の段階で成績上位者となった生徒が待遇を受けることができます。大学によって、免除される金額や条件は異なります。
以上のように、奨学金や特待生は、大学や民間の団体から学費を貸与または給付してもらい、貸与された場合は返還の義務が発生します。しかし、医学部の「地域枠」などの学費免除制度は、へき地などの医療に一定年数従事することで返還義務がなくなるという違いがあります。また、再学卒業後にへき地で9年間はとなるとほとんどの場合、家庭などの関係で永住を選ばざるを得なくなります。自分が永住してもいい環境かどうかはあらかじめ調べるのがよいでしょう。
4.学費が免除される大学
大学によって様々な学費免除制度がありますので、その一部の詳細内容をご紹介します。
4-1.東北地方
・東北医科薬科大学 医学部
「東北地域医療支援修学資金制度」
特典:6年間で総額3,000万円(年額500万円×6年間)が貸与されます。
特記事項:卒業後2年以内に医師免許を取り、指定の医療機関などに医師として勤務することで返還が免除されます。勤務先が宮城県であれば、卒業後10年間、宮城県以外の東北5県であれば、10年間の就業期間指定があります。
選考:修学資金枠A方式合格者15名(宮城県10名、その他の東北県各5名)
4-2.関東・甲信越
・慶應義塾大学
1.全学部対象
「学問のすゝめ奨学金」
特典:6年間で総額540万円(年額90万円×6年間)が給付されます。初年度は入学金20万円が足され、成績優秀者は2年目以降年額150万円に増額されます。
特記事項:毎年申請し、審査に通ることが出来れば、2年目以降も継続して受給することが可能になります。
選考:
1.慶應義塾大学に入学を強く希望する首都圏を除く日本国内の高校等出身者で、成績優秀者であること。
2.経済的理由から入学が困難な受験生で学業成績、家計状況、推薦内容が良い生徒。
以上の条件に当てはまる候補者を地域ブロック単位で選出し、選考を実施します。
2.医学部
「人材育成特別事業奨学金」
特典:4年間で総額800万円(年額200万円×4年間)が給付される制度があります。
選考:毎年10名、一般選考の成績優秀者より選考します。
・順天堂大学 医学部
「学費減免特待生制度」
特典:1年次は、入学金以外の90万円(授業料・教育充実費・施設設備費)を免除されます。それ以降の学費は年額100万円(2年次~6年次)の支払いのみになります。
選考:毎年10名、一般選抜A方式の成績優秀者より選考します。
「特待生制度」
特典:
第1種…授業料と施設設備費、入学金、教育充実費が免除、及び約4,000万円の全学費が免除となります。
第2種…一部授業料と入学金を免除となります。(最大約2,000万円)。
選考:一般選抜合格者の中から若干名、特待生を選考します。選考面接があります。
「相模原市地域医療医師修学資金貸付制度」
特典:6年間で総額3.980万円(入学金と授業料、設備費用、教育充実費)が貸与されます。令和6年度時点の特記事項:以下の条件を全て満たせば返還が免除されます。
(1)大学卒業後2年間のうちに医師国家試験に合格すること
(2)医師国家試験合格後、すぐに相模原市が指定する医療機関で臨床研修を開始すること
(3)臨床研修終了後、引き続き、相模原市が指定する医療機関にて医師として9年間勤務すること
選考:一般選抜相模原市修学資金枠合格者から2名選考されます。
ただし、令和7年度の入試情報については11月の下旬に更新されますので応募前に再度募集要項を確認しましょう。
・東海大学 医学部
「医学部医学科奨学金」
特典:1200万円(年額200万円×6年間)が貸与されます。(2025年度予定)
特記事項:2年次以上の医学部医学科学生を対象に、人物、学業成績 ともに特に優秀な学生に対して奨学金を給付します。
選考:一般選抜合格者から5名、共通テスト利用選抜合格者から2名選考されます。
・東京医科大学 医学部
「成績優秀者の授業減免制度」
特典:授業料290万円を初年度のみ免除されます。
選考:共通テスト利用選抜成績上位10位、一般選抜成績上位40位までの者
・国際医療福祉大学
「医学部特待奨学生制度」
特典:奨学生に選出されると、医学部特待奨学生Sに選ばれると1年次300万円、2年次以降280万円の給付が得られます。医学部特待奨学生Aに選ばれると1年次250万円、2年次以降230万円の給付が得られます。またどちらも入学金150万円の免除が含まれます。
選考:医学部特待奨学生Sは20人、医学部特待奨学生Aは30人選ばれます。一般、共通テスト利用、留学・帰国子女枠から成績上位の合格者を選びます。
・昭和大学 医学部
「特待制度」
特典:300万円(1年次の授業料)が免除になります。
選考:一般選抜で83人が対象になります。
*年度によって対象人数は変わることがありますので、受験時に確認するようにしましょう。
・聖マリアンナ医科大学 医学部
「特待生」
特典:540万円(授業料・教育充実費・教育維持費)が初年度のみ免除されます。
選考:一般選抜合格者の中から、入学者選抜における成績・人物ともに優秀な者野中から選考されます。
4-3.近畿地方
・関西医科大学
「特待生制度」
特典:入学金(1,000,000円)以外の初年度分の学費(1,900,000円)が免除されます。
選考:前期一般選抜の第1次試験合格者の中から成績上位者30名が選考されます。)
「藤森民子賞」
特典:大学より500万円が贈呈されます。
選考:前期一般選抜の成績最優秀入学者1名です。
「学生奨学金(特別枠入学)」
特典:年額最高100万円が貸与されます。
特記事項:卒業後、10年間(関西医科大学附属の医療機関での初期臨床研修期間と大学指定の医師不足地域・診療科に勤めた期間の合計)勤務すれば、返済を免除されます。
選考:特別枠学校推薦型選抜での入学者から選考されます。
・近畿大学
「奈良県緊急医師確保修学資金」
特典:入学金100万円と月額20万円、6年間で総額1440万円が貸与されます。
特記事項:以下の条件すべてを満たすと、返還を免除されます。
(1)大学を卒業後、2年間のうちに医師免許を取得すること
(2)卒業後、キャリア形成プログラムの対象となること
(3)医師免許取得後、すぐに奈良県が指定する臨床研修病院で、2年間の臨床研修に従事すること
(4)臨床研修修了後、9年間指定の医師業務に従事すること
選考:奈良県地域枠入試の中から合格者2名が選考されます。
4-4.九州地方
・産業医科大学 医学部
「修学資金貸与制度」
特典:関係財団から入学金の約7割、授業料の約8割、実習費用の10割を貸与されます。
特記事項:卒業後、労災病院や産業医科大学の職員として、貸与期間の1.5倍の年数を働き、且つその期間で2年間産業医として勤務することで貸与された学費の返済が免除されます。
選考:全受験者が対象です。
5.まとめ
学費が高い私立大学の医学部は、経済的な理由から入学を諦める人も少なくありません。しかし、将来有望な医師を育てるために、上記のように多数の大学の医学部で、学費の免除制度を導入しています。一部でも学費の免除をしてもらうことが出来れば、入学への希望の兆しが見えてくるのではないでしょうか?
ただし、免除の対象となる条件は大学によって様々で、医師免許取得後の就職先が決められている場合もあります。将来的に自分がどのような医師になりたいのか、最終的に目指すフィールドはどこなのか、そのためにどのような勉強が必要なのかを考え、自分に合った大学を選ぶようにしましょう。
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