ピックアップ
医学部受験|受験科目を国公立と私立で違いを解説
大学受験はどこでも簡単ではありませんが、特に医学部受験は偏差値や入試倍率が高いため、入試の難度も高くなります。医師になるためには医学部に入ることがどうしても避けられない道ですので、進路を決める段階で医学部への合格を目指し、できる限りの対策をすることが重要になってきます。ここで大切なのが、受験科目を確実に把握しておくことです。そうすれば受験勉強の範囲を絞ることができて、より効率の良い対策が可能となるからです。そこで、国公立大医学部か私立大学かの違いを見つつ、どの科目が試験に出るかを考えてみましょう。
☑完全無料・面談時間無制限で疑問を全て解決
☑現役プロ講師陣が面談を担当します。
☑5分で簡単お申込み
1.医学部受験とは?
医学部受験生の多くは両親や高校の先生から国公立大学を目指すように言われることでしょう。その理由は、私立大学は学費がとても高い傾向にあるからです。国公立医学部の学費は6年間で400万円が平均であるのに対し、私立医学部は6年間で2000~4000万円に及びます。このように私立医学部は経済的な負担が多いため両親や高校の先生はあまり私立大学をおすすめしないのです。しかし、そんな中、私立の医学部を受験する学生の方が多いのが実状です。それは、国公立医学部の受験がとても高いハードルだからです。
高いハードルの一例としては、国公立大学は試験日程が全校同じで一度きりの受験がセオリーだからです。後期日程を含めるとチャンスは2度ですが、現在、後期日程の受験を行っている大学は少なく、今後さらに枠が少なくすることを各大学で明言されています。一方、私立受験の場合は、様々な大学を異なる日程で受験できるためチャンスが多いといえます。
このような違いがある中で、最も大きな違いは難易度の違いです。今回はその難易度の違いについて一次試験と二次試験に分けて解説していきます。
2.国立大学医学部の受験科目
国立大学は入試偏差値が高いですが、私立に比べると入試倍率は低いところが多いです。といっても、これは国立大学の受験のハードルが低いという意味では決してありません。なぜなら、もともと入試偏差値が高く試験の難度が高いからです。ちょっとした点数の差で合否が決まってしまうことになりますので、その分、入念な受験対策が求められます。
2-1.一次試験
国立大の一次試験は他の学部と同じように、大学入学共通テストを受けることになります。国立大医学部の場合、6教科8科目すべてを受験科目としている大学が多く見られます。このように、受験科目の範囲が広いので総合的な学力が求められることが分かります。それに加えて一次試験では総合点数で85%以上を目指す必要があります。科目範囲が広く、高得点が求められるということで、国公立医学部の受験が難関だと言われるのも納得できます。
詳しく内容を見ていくと、共通テストでは次の6教科が受験対象となるのが一般的です。
・外国語(英語、リスニングを含む)
・理科(化学、物理、生物から2科目選択)
・数学(数ⅠA、数ⅡBC)
・国語(現代文、古文、漢文)
・地歴公民(日本史探求、世界史探求、地理探求、公共倫理、公共政治経済から1科目選択)
・情報Ⅰ(2024年度では一部の大学で点数化しない可能性あり)
このうち、理科については物理と化学、そして生物の中から2科目を選んで受験します。大学によってはあらかじめ科目が決められているケースもあります。国語は現代文と古文、漢文です。地歴公民は日本史探求、世界史探求、地理探求、公共倫理、公共政治経済のうちから1科目を選ぶことが多いです。大学ごとにこれらの組み合わせが限定されていることもありますし、自由に選択できるところも見られます。選択ができると自分の得意分野を活かしやすくなりますし、他の大学との併願がしやすくなるのがメリットです。また情報については新課程から実施されるテストということもあり、一部の大学では点数化しないことが明言されています。しかし、受験はしなければいけないことがほとんどなので、志望大学HPをしっかりと確認しましょう。
ただし、理科については直接医学研究とつながる重要な科目であることから、大学によって指定されているケースも多く見られます。その必須科目を見ることで、それぞれの大学の重視している分野が分かるとも言えますので、大学選びの参考にすることができるでしょう。
医学部だからとにかく理系を強化すれば良い、というわけではない点にも注意しましょう。全体の配点から見ると文系科目の割合も比較的高く、これらの科目で点数を落とすと、いくら理系科目で高得点を取っても試験には受かりません。まんべんなく対策をする必要があることが理解できます。
国立大の場合は、一次試験の利用が無いことや、科目数が少ないことはほとんどありません。もちろん、最終的に合格できるかは二次試験の成績いかんとなりますが、私立医学部と比べると一次試験の重要性が非常に高い点には注意しましょう。特定分野に絞り込んで受験対策をするだけでは不十分で、幅広く学力を高めて、抜け落ちている分野がないように対策することが求められます。
2-2.二次試験
二次試験の問題の傾向は各大学によって異なりますが、受験の基本は多くの大学で同じ方式をとります。まず、数学と英語を必須とした上で、理科のどれかの科目を1つから2つ選んで受験することが多いです。科目や配点については大学ごとにかなりの差があります。そのため、自分が受けたい大学が二次試験でどの科目に力を入れているかは、過去問から分析することや、医学部専門予備校のデータベースにある合格者の声から確認しておきましょう。
また唯一の例外として、東京大学、京都大学は二次試験で国語の受験が必須になります。そして共通テストとは異なり、独特の問題が出される傾向が強いので、個別の対策が求められます。こうしたことから、途中で受験校を変えると大きく対策の方向性を変えなければならないことも出てくるので、できるだけ早く進路を確定しておくことが大事です。
後期日程の二次試験の場合は、小論文と面接がメインとなることが多く、中にはこの二つだけで合否を判断する大学もあります。そうなると、共通テスト対策に集中できますので、より効率よく勉強できるというメリットが生まれます。自分の偏差値が基準に達するかどうか自信がない人は、こうしたテスト方式を採っている国立大を探してみるのも一つの方法でしょう。
科目試験がない分、小論文の出来が非常に重要になり場合があります。医学部の試験ということで全体としては医療関係のテーマについての小論文を求める割合が高いです。といっても、実際にはその場になってみないとどのテーマが出るかは分からないので、幅広いジャンルについて考察できるよう準備をしておくことが重要です。実際に、医療系ジャンルはあまり取り上げられず、自然科学などが多い大学もありますし、完全に文系のテーマが決められることもあります。大学によっては毎年コロコロとテーマが完全に変わるので、予測しづらいケースも見られます。こうした大学では、様々な分野に目を向けて自分なりの考えを組み立て、それを他者に納得させられる説明をする能力を求めていることが分かります。効果的な対策をするためにも、過去の小論文のテーマとどんな取り扱い方が得点につながっているかの傾向を押さえておくべきです。
面接はどの日程でも、どの大学でも実施されます。医師になりたいと思う動機や大学の志望理由といった点が聞かれる他、本人のコミュニケーション能力や倫理観、性格などがチェックされます。面接も非常に大事なステップですので、予行演習をして実践的な対策を取っておきましょう。
3.私立大医学部の受験科目
私立医学部では英語、数学、理科が重要視されている場合が多いです。しかし中には、国語を選択できる大学もあります。また入試方式によって、英語と理科だけといった科目数が非常に少ないパターンもあれば、国立大学と変わらない場合も見られます。
このように、私立大を受験するのであれば、まずは希望校をはっきりと定めることが非常に重要であることが分かります。大学ごとの選択科目や重要視する科目をつかむことが私立医学部へ合格するカギになります。
3-1.一次試験
まず、共通テストを利用できる大学かどうかをチェックしましょう。だいたい半分の私立大学が共通テストを利用した入試方式を設定しています。その上で、それぞれの大学で必須科目や、選択可能な科目が設定されています。受験教科もしくは科目の数についても、国公立大と同じく6教科8科目が必須となっていたり、国語、地歴公民が不要だったりすることもあります。全体の中では、3教科4科目を必須としている大学の割合が高めです。理系科目を重視の傾向が強いですが、英語についてはほとんどの大学で必須科目として設定されていますので、しっかりと対策しなければなりません。
共通テストを利用しない一般受験の一次試験は、大学独自の問題によって行われます。受験科目の傾向は似通っていて、英語に加えて、理科と数学の4科目程度が必要となります。数学は数ⅠAと数ⅡB、数Ⅲが試験範囲に指定され、理科は物理と化学、生物の中から2科目を選ぶ形が取られているケースが多く見られます。
また、例外的な受験科目で一般選抜を行っている大学もあります。たとえば、帝京大学では英語は必須ですが、その他の2科目は数学や理科、国語の中から選んで受験できるとしています。文系にウエイトを置いて受験対策をすることもできるので、文系から理系に移った受験生には救済措置となる受験方法でしょう。また、中には理科を1科目のみの受験で良いとしている大学さえあります。かなりジャンルを絞り込んで対策ができますので、効率よく勉強を進められるのがメリットです。
さらに特殊な大学としては、総合型選抜(AO入試)や学校推薦型選抜(推薦入試)が存在するところもあります。一般選抜のような学力試験は基本的に行わず、面接や小論文、高校からの推薦内容によって決めるという選考方法です。もちろん、誰でもこの推薦枠を使えるわけではなく、高校が大学の指定校になっているかどうか、成績優秀で人格面でも優れていると判断される生徒かどうかなど受験前のハードルが高いこともあります。しかし、総合型選抜(AO入試)や学校推薦型選抜(推薦入試)を使うことができれば、一般選抜のような学力試験を回避できるので受験に伴う苦労が軽減されます。
3-2.二次試験
多くの私立大では二次試験として面接と小論文を行います。小論文は大学によってユニークな形が取られることもあります。たとえば、英語で本文が出題され、内容に基づいて小論文を作成するといった形です。また、テーマについても医療分野にこだわらないところも多いです。といっても、出題傾向というのはどの大学にも存在しますので、希望校を早い段階で確定して、その大学の小論文テーマを過去にさかのぼってチェックしておきましょう。
私立大では学力重視というよりも、判断力や思考力などのスピード感を重視した選考をする傾向があります。そのため、小論文と共に面接の重要性も高いです。単に志望動機を聞くような面接に終わらず、口述試験に近いような、問題提起の面接がなされることもあります。もちろん、人間性や医師に必要な倫理観が厳しく見られるのは共通していますので、よく準備して面接に臨みましょう。
4.まとめ
医学部受験は他の学部よりも難度が高く、相当な準備と対策をしていないと合格は難しいです。特に大学ごとの違いが出やすいので、早めに志望校を決めてリサーチと的確な準備をしていくことが重要と言えるでしょう。
(情報は2024年8月現在。)
■医学部受験にお悩みの方へ
一般的な大学受験と異なる医学部受験に関して「合格する生徒の特徴は?」「医学部専門と一般予備校の違いは?」「地方含めどんな受験方法がいいの?」など様々なご相談を受けることがあります。
医学部受験にお悩みの方に向けて医学部専門予備校野田クルゼでは無料個別面談を実施しております。医学部受験を熟知している医学部受験指導のプロじっくりお話をお伺いします。