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医学部の入試方式などをわかりやすく紹介
受験に臨むにあたって、志望する大学と学部の傾向を押さえた対策が欠かせません。他の学部と違って、医学部には医学部ならではのポイントがあるほか、国立大学と私立大学とでは受験科目などさまざまな点が違います。特に私立大学では、大学ごとの特徴の違いが大きく、それは入試方式にも表れているので注意が必要です。受験するのが国公立大学であれ私立大学であれ、医学部合格を勝ち取るためには、医学部の入試について、難易度や方式の違いなどをよく理解しておく必要があります。
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1.医学部入試の難易度と入試方式
医学部はどこの受けても大学も難関です。他学部と比べて大学による難易度の差はそこまで大きくなく、どの大学でも非常に高い合格ラインとなっています。
ただし一概に難しいといっても、大学ごとに難易度が違うことはもちろん、国立と私立では難しさの種類が違います。国立と私立の違いを把握して、志望校にあった勉強方法を身につけましょう。
1-1.国立大学
国立大学の医学部入試の特徴は、大学入学共通テストの受験が必要なことです。大学入学共通テストとは全国一斉に毎年1月に実施される試験のことで、以前は大学入試センター試験として実施されてきた試験に代わって、2021年から実施されています。
センター試験の時代から、国立大学医学部を狙うなら最低85%、難関校を狙うなら90%以上の得点率が必要と言われてきました。これは共通テストになっても変わりません。
共通テストは、広範囲の勉強が求められます。一般的に、6教科8科目の受験が必要とされ、共通テストの点数次第では、二次試験を受験することさえできない学校も多いです。そのため、志望校における基準以上の得点を確実に取れるようにしておかなければならないのです。
二次試験では筆記試験だけでなく、面接や小論文を課します。そのため国立大学の医学部を目指すには、さまざまな科目の基礎をしっかり身につけたうえで広範囲の学習が必要になるでしょう。
国立大学医学部の学費は学部ごとの学費の差がありません。私立大学の医学部の学費と比べると段違いに安い理由がここにあります。数百万円、時に数千万円もする私立大学の学費と比べて圧倒的に安い国立医学部は、安いがゆえに非常に多くの受験生に人気です。したがって、入試の難易度も私立大学以上に高くなる傾向にあります。倍率が高いうえに合格者の平均偏差値も毎年高いため、高得点勝負になることは避けられないと考えて受験に挑みましょう。
1-2.私立大学
私立大学というと学校推薦の多いイメージがありますが、医学部に関しては国立大学と同じく、一般選抜枠の半分以上占めることが多いです。
共通テストを利用する学校も多いのですが、国立大学と違って6教科8科目の全部が試験対象になるわけではありません。国語や社会を課す大学もありますが、英語(外国語としてドイツ語、フランス語、中国語等での受験も可能ですが、ほとんどの受験生は英語を選択するため、以下「英語」で統一します)と数学、理科のみという大学も多いです。
また、共通テストを利用する私立大学には、二次試験は小論文と面接のみで、筆記試験を実施しないところもあります。その分、共通テストでの点数が重視されるため、国立大学と同程度か、それ以上の得点ができるようにしておかなければなりません。
共通テストを利用しない私立大学では、各大学が独自に個別試験を実施しています。英語、数学、理科が必須というところがほとんどですが、試験内容は大学ごとに大きく違うのが特徴です。そのため、志望大学の問題傾向を把握することが、私立大学医学部を目指すうえでは欠かせません。
なお、2025年から共通テストに導入される新課程は私立医学部の入試問題にも大きな影響を与えています。共通テストはセンター試験よりも思考力や表現力、判断力等を問う問題が多いのが特徴で、その傾向が私立大学医学部の入試試験にも見られるようになったのです。
国立大学と違って、私立大学は各大学が自由に運営しているのが最も大きな特徴です。医学部も例外ではありません。そのため、大学の理念やコンセプトなどに合わせて、授業や実習のカリキュラムも大きく異なります。それは学生を集める姿勢にも表れており、大学によっては最新の医療設備をアピールポイントにしていたり、大学の立地を売りにしていたりとさまざまです。
他大学より入りやすいことを売りにする私立大学医学部は、現在はもう見られなくなったと言ってよいでしょう。過去には偏差値50未満で入れるなんて時代がありましたが、今ではそこまで難易度の低い大学はありません。医学部人気で志願者が増えたため、30年前は偏差値50未満だった大学も、軒並み65以上にアップしています。
しかし、国立大学と比べて私立医学部のほうが、いまだ難易度が低いといえるでしょう。自分の得意分野を伸ばして苦手分野をフォローすることができれば合格の可能性もゼロではありません。最短の期間で医学部に合格したい、苦手分野が多いという場合には私立専願受験も視野に入れましょう。
2.医学部の入試科目について
国立医学部受験は共通テストで、国語1科目、数学2科目、英語1科目、理科2科目、社会1科目、情報1科目の計6教科8科目を受験することが基本になります。
各科目の詳細を見ていくと、国語は現代文、古文、漢文をすべて含めた1科目で、それ以外の科目は選択式となっています。英語以外の外国語として、先述したようにドイツ語、フランス語、中国語、それに韓国語を選択することが可能ですが、英語以外のすべての受験者数を合計しても、英語の受験者の500分の1にも満たない少数です。
数学は「数学Ⅰ・A」と「数学Ⅱ・B・C」を選びましょう。新課程から「数学C」が新たに追加され出題範囲が広がり、今までの共通テストの過去問だけでは対策が困難になりました。しかし、二次試験では出題を検討している大学もちらほらありますので、まずは教科書レベルの問題を完璧に回答できるようにする対策を取りましょう。
理科は「物理」「生物」「化学」の3科目から2つの科目を選択しましょう。「地学」も選択可能ですが、医学部受験では「地学」を点数として扱わない大学が大半を占めているので大学の選択肢を広げるためにも上記の3科目から選びましょう。「基礎科目」はどの大学も点数化していないので選択しないように気を付けましょう。
地歴公民は「日本史探求(日本史B)」「世界史探求(世界史B)」「地理探求(地理B)」「公共倫理」「公共政治経済」の5科目から1科目を選択しましょう。他の科目でも受験することは可能ですが、全国公立医学部50校のうち半数以上が上記の5科目のみを点数化すると明言しています。上記の5科目はすべての大学で点数化されるので選択肢を広げるためにも、5科目から1科目を選択することが無難でしょう。
国立医学部には二次試験もあります。二次試験は日程が前期と後期の2つあり、前期では英語と数学、理科から1~2科目を選んで受験するところが多いです。後期では筆記試験がなく、小論文と面接に共通テストの結果を加味して選抜する大学があります。
なお、前期日程では理科から1~2科目を選ぶところが多いと述べましたが、例外もあるので注意が必要です。たとえば、九州大学や佐賀大学では物理と化学の2科目を必修科目として定めています。また、大学によっては二次試験に国語があるところもあります。各大学によって違うので、詳細は必ず大学の公的な情報を確認してください。
後期日程で課されることの多い小論文ですが、必ずしも医療分野に関することとは限りません。人文系や自然科学系のテーマが出題されることもあります。医学部志望だからといって興味・関心の幅を狭めるのではなく、広い視野でものを見ることが要求されているわけです。
また、医学部の受験では全大学で面接が実施されます。単に学力だけでなく、その人の人間性や医師としての資質が重視されている証拠です。この辺りは一朝一夕で身につくことではありませんが、面接での基本的な受け答えや一般的なコミュニケーションは日ごろから練習しておくことを心がけるとよいでしょう。
私立医学部でも、共通テストを利用する学校が多くなっています。2021年度はおよそ半数の学校が取り入れましたが、どのように活用するかは大学ごとに異なります。
たとえば、産業医科大学では、国立大学と同じように共通テストを一次試験として利用しました。国際医療福祉大学や東京医科大学の場合は、国立大学と同じく6教科8科目が課されました。一方、獨協医科大学は、英語、数学2科目、理科2科目の合計5科目です。
私立大学の一般選抜は、多くの大学が3教科4科目を採用しています。数学は1科目、理科は2科目を選択という大学が多いですが、どの科目を選べるかは大学ごとに違っています。
3.医学部の入試問題について
国立医学部の偏差値は60台後半から70以上です。難関校ともなると、共通テストで90%以上を確実に得点できなければなりません。基礎をしっかり身につけているのは前提として、二次試験では思考力や判断力など、より本質的なことを問われます。
私立大学は大学ごとに入試問題もさまざまです。ただし、先述したように、昔と比べてどの大学も難易度がアップしているため、どこの大学が入りやすいということはありません。国立大学と比べて試験科目が少ないため、よりシビアな戦いになることを覚悟しておいたほうがよいでしょう。
私立大学も、慶應義塾大学などの最難関医学部となると、最難関の国立大学医学部と同じく、単に知識を問うだけの問題ではなく、思考力や判断力など本質的な能力を問う問題が多くなります。
その次に位置する難関校、たとえば東京医科大学や順天堂大学などは、問題自体は基本を問うものが多いですが、とにかく大量に出題される傾向があります。基本をミスなく確実に、しかも、スピーディーに処理することのできる能力が問われるということです。
地方大学は大学ごとに形式がまったく異なります。マーク式の大学もあれば記述式のところもあり、同じ大学でも年度ごとに形式が変わることも珍しくありません。出題範囲も大学によって相当なバラつきがあるため、志望校に合わせた対策が欠かせないでしょう。何校も受験するのであれば、大学ごとに個別の過去問対策が必要です。
まとめ
大学医学部の入試方式は、国立大学と私立大学で大きく違います。国立医学部を受験するには、一次試験として共通テストの受験が必須です。しかも、受験科目が6教科8科目と多いため、広範囲の準備が求められます。一方、私立医学部も共通テストを利用する大学が増えていますが、受験科目は英語、数学、理科2科目というところが多いです。いずれにせよ、大学ごとに出題傾向が大きく異なるので、志望する大学の過去問対策が欠かせません。
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