2024.09.05更新日

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医学部の志望理由書の書き方や事前に準備することなど紹介

大学の推薦入試では、学科試験や面接だけでなく、志望理由書を書かせるところが少なくありません。医学部の場合、推薦入試のみならず一般入試でもほとんどの大学が受験生に志望理由書を課しているのです。しかし、志望校の募集要項を調べる受験生のなかには、受験科目や小論文、面接の有無などにばかり注目して、志望理由書を見過ごしている人もいます。

そこで今回、直前になって慌てることのないよう事前に医学部の志望理由書について、志望書の書き方や、どのような内容を書くのかを紹介します。たかが志望書と気を抜くことなく十分に対策しましょう。

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1.志望理由書とはなにか?なぜ志望理由書があるのか?

志望理由書とは、出願時に提出する書類です。その名の通り、その大学医学部に入学を志望する理由を記した書類のことを指します。大学によって「エントリーシート」や「自己推薦書」などと呼び方が違うこともありますが、基本的な内容は同じです。いずれにせよ、自分がいかにその医学部に入学したいのかをアピールするために書きます。

そもそも、志望理由書を書かせるのは医学部だけではありません。特に、推薦入試では学部に関係なく多くの大学が課しています。学部によらず合否の判断の一助とするために志望理由書を書かせるわけですが、医学部の場合は他学部と少し事情が異なることに注意しましょう。

医学部受験に志望理由書が必要な理由は、単に志望動機を聞きたいだけでなく、どんな医師になるつもりなのかを受験生に問いたいからです。大学側は将来の立派な医師を養成することが目的ですが、そのためには、入学を認める段階で医師にふさわしい人物かどうかを見極めなければなりません。学科試験だけでそれを見極めることが難しいため、ほとんどの医学部では小論文や面接試験を課しています。それらに加えて志望理由書を課すことによって、受験生に自分の言葉で医学部を志望する理由、医師を志望する理由を問い、本当に医師になるのにふさわしい資質を備えているのかを判断するのです。

このように、志望理由書の提出が求められる大学では、その内容から医師の資質を確認していることは確実です。面接では志望書の内容を踏まえた質問がされることもあるので、書くべき内容をしっかり吟味して臨む必要があります。

2.医学部志望理由書を書く前に整理すること

大前提として、医学部受験で志望理由書が求められるのは、受験生がどんな医師になりたいのか、なぜこの大学を志望するかを大学側が知りたいからです。

特に、思い描く医師像はかなり重視されるポイントでしょう。受験生はさまざまな理由から医師を目指すわけですが、その思いをそのまま書くだけでは不十分なことがあります。

「志望理由書だから自分が医師を志望する理由を書くだけでいい」というのは間違いです。なぜ大学側はわざわざ受験生に志望理由書を書かせるのでしょうか。それは、将来を具体的見据えられる学生を求めているからです。たとえば、「祖父母の死をきっかけに」というのは多くの受験生が医学部を目指す理由として挙げます。確かにそれがきっかけの一つになったのでしょう。しかし、大学側からすれば感想文でしかなくその人の将来性を理解することができません。

大切なのは、将来性のある学生だと示すことです。祖父母の死が志望理由ではいけないというわけではありません。ただ、エピソードを書いているだけでは大学側に、医師でなければならない理由や、その大学の医学部で学ぶ理由を説明できていないことが問題なのです。受験に合格する人の志望理由は、大学が求めている人材は何かを理解し、自分の過去の経験を大学でどのように生かせるかを説明できる人なのです。

医学部のある大学は全国各地にあります。受験できる大学が前期と後期で合わせて2校しかない国公立大学ならともかく、私立大学を志望するなら、多くの選択肢のなかからなぜその大学を選んだのか明確な理由を説明できなければなりません。大学の理念や医学部の特徴なども踏まえて、「だからこそ、ここの医学部で学びたいのだ」とアピールできる内容を書きましょう。

また、医学部を卒業し、医師になった後のビジョンまでしっかり示せることも大切です。医療に携わる仕事は医師だけではありません。看護師ではなくなぜ医師なのでしょうか。また、人命を救いたいのであれば、なぜ救急隊員ではなく医師なのでしょうか。短くまとめるには難しい内容ですが、医師になりたい本質的な理由を書くことで自分をアピールできるでしょう。

3.医学部志望理由書を書く際のポイント

まず志望理由書を書く際には各大学によって指定されている条件を見落とさないように注意してください。大学ごとに志望理由書の内容や文字数などの条件が定められています。数学の問題で条件を無視した解答を書いても評価されないのと同様、志望理由書でも条件を見落とすのはNGです。

次に、大学ごとのアドミッションポリシーを理解しましょう。アドミッションポリシーとは、大学の教育理念や特色にもとづき、どのような学生を受け入れるかを決めた方針です。また、各大学のディプロマポリシーもチェックしましょう。こちらは、その大学でどんな知識や技能を身につけた学生に対して学位を認定するのかをまとめたものです。

志望理由書を書く前には、これらアドミッションポリシーとディプロマポリシーを踏まえて考えをまとめましょう。これらのポリシーのもとで、どのように個性を表明するかが志望理由書のポイントになります。
たとえば産業医科大学であれば、産業医の養成という目的のために設置された大学ですから、大学側は受験生に産業医を目指していることを好ましく思います。となると、志望理由書にも産業医としてのビジョンを書くことが大切になるでしょう。

また、入試区分や奨学金の受給によって卒業後の進路が決められている大学もあります。大学側が受け入れるのは当然、条件を理解している学生のみとなりますので、志望理由書でも進路についてのビジョンを説明することが重要です。例えば私立大学の場合、6年間で合計1,000万円以上の奨学金を支給するところもあります。卒業後に指定の勤務先で指定の期間を勤務すれば、それほどの多額な奨学金が返済免除になるところもあるわけです。大学側としては、それだけの金銭的負担に見合う人を入学させたいと考えています。したがって、志望理由書で大学のポリシーや卒業後の進路について触れて、しっかり理解していることを示すのは当然と言ってよいでしょう。

以上に説明したことを中心に大学側へ自分を紹介することで合格に近づく好ましい文章を作成できますが、基本的な文章作成のルールも忘れないよう注意しましょう。誤字、脱字や、見やすい文字か、一文の長さや、段落の使い分けなど、文章を読む人への配慮は絶対に忘れてはいけません。いくら良い文章を書こうとも文章を読むことに飽きられてしまっては元も子もないですからね。
文章の基本、自己アピールの基本を確認しながら志望理由書を作成しましょう。

4.医学部志望理由書の文章校正

ここまで紹介した志望理由書の書き方をもとに、具体例として約800字の志望理由書を書くときの文章構成を考えてみましょう。

最初はなぜ医師を目指すのか、そのきっかけや理由について200字程度で書きます。具体的なエピソードを書くのはよいですが、すでに述べたようにそれだけを長々と書いて紙面を埋めればよいわけではありません。なぜ医師でなければならないのか、どのような医師を目指すのかを記載しましょう。

次も200文字程度で、卒業後の将来の医師像も書くとよいでしょう。具体的にどんな診療科のどんな医師になりたいとビジョンがあると良いですが、志望する大学のポリシーに適うかどうかを忘れないようにしましょう。

その次に、なぜこの大学でなければならないのか、具体的な理由を示します。しかし実際には、偏差値的に他の大学は難しいから仕方なく選んだということもあるでしょう。そんな場合でも、受験する大学で実現できる将来像が必ずあると思います。その将来像を見つけるために色々調べることも大学側が求めていることかもしれません。第一志望ではないからと言って適当に志望理由を書くのではなく、この大学でどのようにして将来像に近づけるのかを調べて、大学の志望動機を記載しましょう。文字数としては200~300字が目安です。

まだ文字数に余裕がある時は、入学後の希望もぜひ書いておきましょう。医師になるために勉強に力を入れるのは当然ですが、具体的にどんなことを学んでみたいとか、また、勉強以外の課外活動でやってみたいこともあれば記載してみましょう。

最後に、まとめとしてもう一度「ここの医学部でないとダメなんだ」という熱い思いを簡単に述べます。ここは長く書く必要はありません。全体で800字なら50字程度で大丈夫です。

以上は800字の志望理由書の構成例ですが、これより長くても短くても基本的な構成は同じです。文字数に合わせて各パートを膨らませたり要約したりして調整しましょう。大学によっては、全体でわずか200字程度の志望理由書のところもあります。その場合は、なぜその大学を志望するのかという理由を中心に、医師になりたい理由や将来像を添えるとよいでしょう。

いずれにせよ、各パートに何文字ぐらい書くのかをだいたい決めてから、書き始めることが大切です。思いつくままいきなり書き始めると、主張したいことの箇条書きになってしまい、まとまりがなくなったりすることがあります。まず各パートの要点をまとめた下書きを作ってみるとよいでしょう。そのうえで何度か書いてみるうちに、指定の文字数にきっちり収まるまとまりのある文章ができるようになります。

5.まとめ

医学部受験に志望理由書が必要なのは、大学側の考えと受験生の思い描く学生像が合っているかどうかを判断するためです。そのため、単に医師になりたいと思ったきっかけだけを長々と書くのではなく、なぜその大学で学びたいのか、将来どんな医師になりたいのかという明瞭なビジョンを打ち出すことが求められます。また、大学によって志望理由書の条件が決まっていますので、事前に志望校の募集要項をしっかり調べ、大学側の求める志望理由を書けるようにしておきましょう。

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