2024.08.07更新日

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医学部受験の科目一覧とそれぞれの特徴をご紹介

医学部は国公立大医学部と私立大医学部で受験のために勉強しなければいけない科目が異なります。また大学ごとに出題傾向や出題範囲も異なるため、あらかじめ違いを把握しておくことが合格の鍵になります。

そこで今回、国公立大医学部と私立大医学部それぞれの受験科目一覧とその特徴をご紹介します。

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1.医学部受験の受験方法とは?

まず一般入試について、国公立大は一次試験で共通テストを利用します。試験科目は、国語、外国語、数学、理科、社会、情報の6教科8科目と多くの科目を選択しなければなりません。私立大では共通テストを利用しなくてもよい場合が多く、外国語、数学、理科の3教科4科目を選択することになります。選択科目が少ないため私立大医学部は受験者数が多く倍率は高いですが、国公立大大学はそもそも偏差値が高く、国公立大でも私立大でも医学部は狭き門であることは変わらないことが分かります。

共通テストや学科試験のイメージが強い医学部受験ですが、他学部と同様に推薦による入試もあります。一般的に推薦と称されている試験は正式な名称は「学校推薦型選抜」です。この学校推薦型選抜の中にも「公募推薦」や「指定校推薦」がありあります。推薦は概ね11月に実施されます。「学校推薦型選抜」は、自分が在籍している高校からの推薦書が必要である点が特徴的です。公募推薦と指定校推薦のざっくりとした違いは、公募推薦は大学側が設定している推薦基準を満たせば応募でき、指定校推薦は大学側が指定した高校にのみ推薦枠が与えられているので高校に指定枠がなければ受験できません。推薦にはその他に「総合型選抜」(旧AO入試)と呼ばれる自己推薦型もありますが医学部ではあまり設定されていません。

医学部に多い入試制度となるのが、「地域枠推薦」です。合格した時点で医学部卒業後の勤務地があらかじめ定められている推薦枠で、定められた地域の医師不足を解消するために作られた制度です。出願にはその地域の出身であることなど、ある一定の条件が付けられている場合もあります。地域枠推薦の最大のメリットは、学費を免除または奨学金を貸与してもらえる点です。受験する際にはその地域ではどのような医療が行われているのか把握しておく必要があります。

2.国立大学医学部の受験科目一覧と科目ごとの特徴

2-1. 一次試験(共通テスト)

2-1-1. 国語

共通テストにおいて国語は、試験時間が90分で、現代文100点、古典100点の計200点と意外にも配点が高いのが特徴です。二次試験である個別試験で国語を出題する大学は少ないため、ほとんどの場合は共通テスト対策のみで十分です。ただ、合格のためには8割以上の点数を取得することが求められますので、油断は禁物です。現代文(評論、小説)、古典(古文、漢文)共に読解力や精読力を問われ大門1つにつき2つ以上の文章問題が出題される可能性があります。そのため、速読力がないと最後まで問題を読み切れず、惜しい失点をしてしまいがちですので、普段から文章を素早く深く読み込む力を身に付けておきましょう。

2-1-2. 英語

英語の試験時間は、リーディング80分、リスニング30分となっています。また、選抜の際に重視される教科の一つとされており、大学によって配点の比率が異なる場合があることを覚えておく必要があります。共通テストでは、ライティングが100点、リーディングが100点で配点されています。しかし、ある大学ではリーディング4対リスニング1の比率で採点されます。(例:満点の場合、リーディング400点:リスニング100点)同様の配点方法が複数の大学で採用されていますので、どちらか一つだけ高得点が取れても有利になる可能性が少ない仕組みになっています。また、英語は他の教科よりも配点を高く設定している大学が多いので、力を入れて勉強に取り組まなくてなりません。例をあげると、他の教科は200点で配点されていても英語だけ300点として配点している大学があります。医学部は理系学部ではありますが、論文や医学用語は全て英語であるという点から英語が必須科目であることは納得できるでしょう。医学部合格のために最低でも9割取得することを目標にしている受験生ばかりです。

出題傾向としては、リーディングは単語や文法問題は出題されず、大問6つほとんどが読解問題です。しかも一つ一つの問題のボリュームも多めです。大問6題を80分で解かなくてはならないので速読力が求められます。題材となる事柄も様々なため、過去問などで幅広い範囲の問題に対応できる力を身に付けておかなくてはなりません。

リスニングに関しては、問題を読み上げるのは1度だけという形式なので、一字一句、聞き漏らさないよう集中して取り組む必要があります。また、英語を公用語としていない非ネイティブスピーカーが会話に参加している場合がありリスニングに普段から慣れが必要になることに注意して対策を取りましょう。

2-1-3. 数学

数学も英語と同様に他の教科よりも配点比率が高い傾向があります。試験時間は数ⅠAが70分、数ⅡBCが70分です。英語と同じく共通テストでは9割以上取得していないと合格は狙えません。ただ内容は比較的シンプルなので、二次試験(個別試験)の対策をしっかりしておけば、共通テストでも満足できる点数が取れるレベルの問題ばかりです。共通テストに関しては、4割は教科書に出てくる基礎的な問題で、あとの6割は応用問題や発展問題です。

問題の傾向としては、設問の文章が長い部分が多く設問中に会話や状況設定が盛り込まれているため、文系科目と同様にある程度の読解力が求められる部分があります。どの分野においてもとにかく基礎を徹底的に磨き上げておけば、大抵の問題は解くことが出来るレベルですので、公式や定理をしっかり身に付けておきましょう。

2-1-4. 理科

医学部受験の理科は、化学・物理・生物から2科目選択するのが基本です。物理と化学のセットで選択するパターンが多いですが、より得点を稼ぎやすい科目を選択するのがいいでしょう。一般的には化学は選択すると決めた上で、その他のもう一科目をどうするかで迷う受験生が多いようです。基本的には、医学は生物学に精通していますので生物を選択するのが良いですが、物理の方が得意だという場合には物理を選択しても良いでしょう。最終的には様々な情報を加味して選択を決定すべきです。

2-1-5. 社会

世界史・日本史・地理・倫理政経から1科目選びます。大学によっては、試験科目を限定しているケースがあります。多くの大学では配点率が低く設定されているために、十分な対策をしない受験生も多くいます。しかし、医学部に合格するためには共通テスト全体で8割以上取得する必要があるので、決して手を抜いてはいけません。とはいっても、優先すべきは英語や数学ですので、社会は比較的得点の取りやすい倫理政経を選択するのが良いでしょう。ただ、得意不得意がありますので、暗記が得意だという受験生は地理や日本史を選択することも決して悪いことではありません。

2-1-6. 情報

「情報」は令和7年度共通テストから始まった新しい分野です。試験時間は60分で内容としては、文章や図を読んで考察する問題が出題されます。計算や暗記の要素は少なく、本文が主体の問題が多いことが特徴的です。対策としては各予備校で行われる模試を復習することや、試作問題を解いて復習して問題の雰囲気をつかみましょう。

また、新課程からの試みであるため大学ごとに配点が大きく異なることも特徴の一つでしょう。令和7年度時点、北海道大学、徳島大学の2大学は「情報」を点数化しないそう。「情報」の配点を極端に低く設定している大学もあるので、捨て科目にすることも可能です。もし、点数が取れなくても志望校を変えて出願することで合格の可能性を広げることができるでしょう。

2-2. 二次試験(個別試験)

2-2-1. 英語

当たり前のことですが単語や熟語、文法など高校1年生で習うような基礎的な内容をしっかり理解していなければ高得点は狙えません。国公立大大学の場合、英作文問題が多い傾向があります。そのテーマは医療系や自然科学に関連しているものが多いため、医学知識を事前に学習すると試験を優位に進めることができます。

2-2-2.数学(ⅠA、ⅡBC、Ⅲ)

年々難易度が上がっている数学は、共通テストでは出題されない数Ⅲの問題を出題する大学もあります。また、共通テストはマーク式ですが、二次試験では記述式を採用している大学が多いので共通テストとは別の個別試験に特化した対策が必要になります。数学Cに関しては新課程で追加されたため、行列などをいきなり出題する大学もあるかもしれません。十分注意して対策をとってください。

2-2-3. 理科(物理・化学・生物から2科目選択)

3科目のうちほとんどの受験生が選択する科目が化学ですので、まずは化学の対策を行うと良いでしょう。医学部合格のためには、6~8割取得がマストと言われています。大学によって、1科目のみに指定されている場合もあります。

3.私立大学医学部の受験科目一覧と科目ごとの特徴

3-1. 一次試験

3-1-1. 英語

英語はとくに重視すべき教科の一つです。その試験内容は大学によって様々ではありますが、全体の傾向として正答問題や並べ替え問題を中心的に出題している大学が多くなっています。長文読解の問題は、医療系のテーマで出題されるパターンが多く、文章のボリュームがすごいため、速読力が求められます。個別試験では、英作文を課す大学や文法問題を細かく出題する大学もあり、大学によって特色が別れますので志望校に合わせた対策が必要になります。

3-1-2. 数学

数学は英語と共に医学部で重視される教科で、数Ⅰ~数Ⅲまで幅広い範囲から出題されます。私立大大学の数学の試験の特徴は、処理能力の見極めを重視している大学が多いということです。というのも、計算問題や文章問題などといった基礎問題がたくさん出題され、与えられた時間の中でどれだけ正確に多くの問題を解けるかを判断されるのです。しかし、難易度が高めの問題も必ず1問は出題されます。こちらも大学毎に出題傾向が異なるため過去問での対策が必須となります。こちらも数学Cの出題される可能性があるので、十分注意して対策をとってください。

3-1-3. 理科

大学によって選択する科目はまちまちですが基本的には、化学、生物、物理の中から2科目を選択するケースが基本です。中には受験科目が理科1科目のみという大学もありますが非常に稀です。どの科目を選択するかで迷う受験生が多いですが、実は医学部入学後に医師としての勉強を進めるにあたり有利なのは、生物です。受験勉強である程度生物の基礎的な知識が身に付いていると、入学後の勉強がスムーズに身に付いていくのです。あとの1科目は自分の得意な科目を取得すると良いでしょう。

3-2. 二次試験

3-2-1. 面接

二次試験もクリアしなければ医学部に合格したことにはなりません。多くの大学で二次試験は一次試験に比べて配点は低く設定されています。しかし、二次試験の失敗がそのまま不合格につながるケースもあるので一次試験と同様に十分な対策が必要です。二次試験の面接形態としては多くの場合は個人面接です。中にはグループでの討論が課される集団面接やMMI(マルチプル・ミニ・インタビュー)と呼ばれる複数の課題を用いた面接もあります。いずれも、医師として働く際に必要となるコミュニケーション能力や説明力を問うもので、スムーズな受け答えさえ出来ていれば大きく失敗することはないと言われています。面接では医師としての適性を見極めるような質問内容が問われるので、しっかりと準備をしておきましょう。

3-2-2. 小論文

私立大大学医学部での小論文は、面接同様、一次試験に比べて配点は低く設定されています。小論文のテーマは、大学によってもちろん異なりますが、医療系の記事を読んで自分の意見を記述する問題などがあります。普段から医療系のニュースや基礎知識には触れておくようにし、それに対して日記などに自分の意見を書いてみると本番でも焦らずに対応することが出来るでしょう。そして書いた内容は誰かに必ず添削してもらい、悪い点を指摘してもらうと少しずつまとまりのある文章になっていきます。

4.まとめ

医学部の試験は、難しい内容ばかりでハードルが高いものだと感じている方もいるかもしれませんが、実際には難易度の高い問題ばかりではありません。医学部受験で大切なのは、基礎的な問題を素早く正確に解くことが大切なのです。志望校の受験科目一覧を作成して、それぞれの重要ポイントをまとめておくと勉強に取り組みやすいです。
(情報は2024年8月現在。)

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