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国公立医学部の受験科目とその特徴をご紹介
日本には医学部医学科を持つ国立大学が42校、公立大学が8校存在します。つまり日本には医学部医学科を持つ国公立大学が50校存在するわけです。国公立大学の倍率は私立大学と比べて低めとなっていますが、年々難易度は高くなっていることをご存じでしょうか。そんな中、情報戦で受験戦争に負けないために、最低限の知識である医学部の受験方法や受験科目、その特徴をご紹介します。
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1.国立・公立大学の医学部受験とは?
国立・公立大学医学部の一般選抜は、一次試験と二次試験に分かれています。国公立大学は二次試験の日程が同じなので、前期日程と後期日程それぞれ1校ずつ受験することになります。また、一次試験である大学入学共通テストによる選抜は「足切りライン」が存在する場合が多く、基準点に達することが出来なかった受験生は二次試験を受験することができません。また、近年では、後期日程を廃止する前期試験だけ実施する国公立大学が多く、合格のチャンスが少なくなっているのが現状です。
二次試験は大学ごとの個別試験となり、その試験内容は大学ごとに異なります。前期日程は学科試験が配点の多くを占め、後期日程は面接、小論文の配点が多くを占める傾向にあります。一次試験(共通テスト)は1月中旬、二次試験前期は2月下旬の日程で行われます。
後期日程は3月中旬に行われます。そもそも後期試験を行う大学は少なく、国公立大学全体の約3分の1程度しか実施していないため、志望または受験を検討している大学が後期試験を実施しているかどうかを前もって調べる必要があります。また、後期試験の定員数は30名未満と前期試験に比べ非常に少ない大学がほとんどなので、当然倍率が上がり合格難易度も高くなります。また、後期日程は共通テストの割合を重視する傾向なので、共通テストでいかに良い点数を取るかがポイントになります。
ただし、国公立大学医学部の受験は、偏差値が高すぎるが故に受験の敷居さや「足切りライン」が存在などから、受験倍率は低めであるという特徴があります。参考までに医学部の偏差値は、67から73ほどとトップクラスの成績を持った受験生が集まってきます。しかし、前期日程の倍率は概ね2~3倍に収まっており、応募人数の少なさを物語っています。とはいえ、試験は受験科目が多く、出題範囲も広いので並大抵の努力では合格出来ません。早い段階からコツコツと勉強することが大切であることを覚えておきましょう。
2.国立・公立大学医学部の受験科目とは?
国公立大学の受験は、一次試験で大学入学共通テスト、二次試験で個別試験を受験します。その受験科目は大学によって異なりますが、一般的な大学の受験科目についてその特徴をお伝えします。
2-1. 一次試験
2-1-1. 国語
二次試験で国語を受験科目としている大学はわずかなので、ほとんどの受験生は共通テストのみの対策で十分な科目です。しかし、共通テストの配点は英語や数学と同じ200点となっていますので、安易に手を抜いてしまうと痛い目に合います。一般的に医学部受験では、共通テストで85%以上を獲得するのが国語の合格ラインと言われています。中には、国語の配点比率が高い大学もありますので注意しましょう。
教科としては、現代文、古文、漢文からなり、現代文は評論と小説に分かれています。現代文に関しては、得意不得意が分かれる分野で得意な方は対策なしに点数を取れてしまいますが、苦手な方は現代文の読み込み方から習得していく必要があります。読解方法を学んでから演習問題をたくさんこなすことで速読する技術を身に付けましょう。一方で古文は、ポイントを押さえて学習すればすぐに点数が上がる科目です。まずは、大門の一つが単語と文法に関する問題となっていますので、基礎をしっかり頭に叩き込みましょう。長文読解は文の構造が理解出来ていないと解けない問題ばかりですので、過去問をやり込んで構造を理解することから始めると良いです。最後に漢文は、句型や頻出表現を覚えることが重要になります。まずは参考書の表現を暗記して基礎を完璧にしましょう。あとはセンター試験や共通テストの過去問を活用して新しい表現や解法になれる作業をすれば高得点を狙えます。
2-1-2. 英語
英語は配点が高い傾向にあり、最も重点的に勉強しなくてはならない科目の一つです。理数系に力を入れてくる医学部受験生の中で、英語で高得点を取り、周りに差を付けられるかどうかが勝負の分かれ目となります。合格のためには90%~満点を狙う必要があります。また、医学部に入ってからも英語の授業があるため、進級するためにも一定以上の学力が必要になります。
共通テストの内容は、リーディング80分、リスニング60分で共に100点ずつの配点となっています。
リーディング問題は、従来のセンター試験では文法問題なども多く織り交ぜられていましたが、現在は読解問題が大半を占めています。長文読解の問題数が多いので、国語と同様ゆっくり読んでいては時間が足りなくなってしまいます。速読力を身に付けスピーディーに問題を解ける力が求められるため、語彙力と演習問題での特訓が合格への鍵です。
リスニング問題は、問題を1度だけしか読み上げない部分があったり、ネイティブスピーカーでない英語が混じったり、聞き取りと合わせて表やグラフの読み取り能力も試される問題があるので難易度は少し高めかもしれません。リスニングは慣れが一番大切です。隙間時間などに毎日リスニングを行うことでリーディングの長文読解にも対応できるスキルが身に付きます。単語や文法の勉強ももちろん大切ですが、リスニングの配点が高くなっていることを覚えておき、ナチュラルな英語に触れる時間を増やすようにすると良いでしょう。
2-1-3. 数学
外国語と並んで数学の配点比率も高い傾向にあり、医学部合格のためには英語同様90%~満点を狙う必要があります。共通テストでは、数ⅠA、数ⅡBの2教科の問題が出題され、数ⅠAは70分、数ⅡBは60分の試験時間です。あまり知られていないですが、情報と簿記という教科を選択することもできます。この2分野は履修する高校が少ないため、一般的にはあまり選択されません。
数ⅠAでは必須解答の数と式、図形と計量、二次関数などの他に選択問題があり、確率・整数・図形の3分野から2つを選び解答します。比較的覚える公式が少ないという点から、図形と確率を選ぶのが良いとされていますが、こればかりは得意不得意がありますので、自分の得意分野を選ぶようにしましょう。一方で数ⅡBでは、試験の後半部分で数列・ベクトル・統計の中から2分野を選択します。基本的な内容を発展させた問題が出題されますので、とにかく基礎を身に付けることが数学では重要な対策になります。
2-1-4. 理科
化学・物理・生物の中から2教科選択します。多くの国公立大学医学部の受験生は物理と化学を選択する傾向にありますが、自分の得意不得意に合わせて選択することで高得点を狙うのが良いです。一般的に、暗記が得意な人は生物、化学の選択を、計算が得意な人には物理を選択すると良いと言われています。それぞれの教科の特徴としては、生物は基本的な知識問題から、読解力と知識を必要とする考察問題の出題が多いです。化学は理論・無機・有機でそれぞれ必要とされる能力が異なりますが、生物や物理と共通する知識が多いためとっつきやすい科目。物理は暗記が少なく、数学的要素が強い傾向にあります。
2-1-5. 社会
社会は世界史B・日本史B・地理B・倫理政経の中から1教科選択します。大学によっては教科を指定している場合もあるので、まずは志望校のホームページを確認しましょう。
社会科目は、英語や数学と比べて配点率が低く、対策をしないで試験に臨む受験生も少なくないですが、合格のためには最低限8割以上を目指す必要があります。しかし二次試験対策のためにも、社会科目に多くの時間をかけてはいけません。そこで科目選択が重要になります。学校で得意だと思った科目や、暗記が少ないと言われる倫理・政経や地理Bを選択することで最短で8割を取れるように対策しましょう。
2-2. 二次試験
二次試験である大学別個別試験は、前期日程と後期日程に分かれ、ほとんどの場合前期日程は3教科4科目の筆記試験、後期には共通テストと面接・小論文を優先した試験が行われます。筆記試験では、記述式を採用している大学が多く難易度が高いので、一次試験の自己採点の結果によって出願する大学を決めるのがベストです。
2-2-1. 英語
英語の二次試験では単語や熟語、文法といった基礎をしっかり理解していないと解けない問題がほとんどです。特に国公立大学の出題傾向として、英作文が必ずと言っていいほど出題されます。英文を作るには、読解よりももう一段階上の学習が必要になります。日ごろから過去問に触れて英作文を作成するように学習しましょう。また読解問題を解く際にも、文法や語法を意識して内容以外にも注意を向けて読解しましょう。また、単語力がないと表現方法が限れてしまい、英作文の難易度が上がってしまいます。基礎的な学習も欠かさずに行うことが重要です。
2-2-2. 数学(ⅠA、ⅡB、Ⅲ)
数学は年々難易度が増しており、特に数3やベクトルといった難易度の高い分野の問題が多く出題される特徴があります。また、多くの大学は記述式を採用しています。大学によって問題は様々なので、志望校に特化した対策を行う必要があります。
2-2-3. 理科(物理・化学・生物)から2科目選択)
過去の受験結果を見ると、平均点は物理よりも化学が高い傾向にあります。英語や数学と同様、理科も高得点を取ることが条件となり、確実に合格するためには6~8割の得点が必須です。大学によっては、理科は選択制になっておらず、指定された科目を受験する場合もあるので注意しましょう。
3.国立大学医学部を目指す際の受験勉強の方法とは?
まず共通テストは、出題範囲がかなり広いことから、早い段階からの対策が合格への鍵になります。医学部以外の大学受験者も受ける試験であるため、難易度が極端に高いということはなく基礎的な内容ばかりです。徹底的に基礎を身に付ければある程度の得点を獲得することができます。しかし、問題量が多いためにとにかく時間が足りないという事態が起こりがちです。基礎を固めた後は、早く問題を解く訓練をする必要があるでしょう。
次に、1点の失点が合否を分けることを意識しましょう。国公立医学部の受験では、共通テストと二次試験のどちらも高得点の戦いになります。そのため、苦手科目や苦手分野を作らないようにひとつひとつ克服していく作業がとても大切です。また、ケアレスミスを起こすことがないようにミスの傾向を把握して、毎回意識しながら問題を解くことも重要になります。
近年、国公立大学の医学部受験では、学科試験よりも面接や小論文といった人間性を問う試験が需要視される傾向にあります。学力がいくら秀でている人であっても、医師としての自覚が備わっていなければ医師としての資格がないとされているからです。大抵の大学では、学科試験が終わったあとに面接、小論文の日程が組まれているため、試験勉強から解放される時期ではありますが、入念な対策が必要になります。小論文対策としては、医療系の時事問題などを織り交ぜつつ自分の意見を述べられるようにするため、日頃からニュースに触れることや小論文対策の参考書を読むことが大切です。面接では、一般的な対話能力や医療問題を理解しているかという予備知識が問われます。普段から医療系のニュースに触れ、周囲の人とその話題について語り合う時間を作ってみると役に立つかもしれません。
4.まとめ
国公立大学の筆記試験では、共通テストで5教科7科目、個別試験で3教科4科目がスタンダードな受験科目です。それだけでも対策する範囲は膨大ですが、プラスして面接や小論文の対策もあるので、いかに効率よく学習を進めるかがポイントとなります。早い段階で志望校の的を絞って、計画的に勉強に取り組むようにしましょう。
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