2024.10.20更新日

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医学部の学費はなぜ高いのか?内訳含めて解説

大学進学を考える受験生にとって、気がかりとなるのは難しい入学試験だけではありません。両親も含め受験生が気にしなければならないのは「学費」です。さらに自宅から通うのか、大学の近くに一人暮らしをするのかなど、学生生活中の「生活費」についても入学まえから考えておかなければなりません。

特に医学部では、卒業まで6年間かかるため4年制学部と比べて、「学費」「生活費」ともに費用がかさんでしまいます。一般家庭や兄弟の多い受験生にとって、医学部進学のために学費を捻出するのはかなり大変なことと言えるかもしれません。しかし、なぜ医学部の学費はこれほど高いのでしょうか。

また、国公立大学医学部と私立大学医学部では、どのくらいの差があるのでしょうか。高額な学費を抑える方法も最後に紹介しますので、ぜひご覧ください。

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1.医学部の学費の平均は?

1-1.私立大学

私立大学医学部の学費は、大学ごとに大きく異なります。そのため、平均金額を出すのは難しいのですが、その中央値はおよそ3,000万円にも及びます。

しかし、この値はあくまで参考にすぎません。実際、学費が高い私立大学上位5校だけの平均だと約4,200万円になるのに対し、学費の安い私立大学上位5校だけの平均だと約2,100万円になります。同じ医学部の学費であるのにも関わらず、倍近く違うのです。

1-2.国公立大学

国公立大学医学部の学費の平均は、6年間で約350万円です。
なぜ、国公立大学医学部の学費は私立大学と比べてこれほど安いのでしょうか。その理由は、国公立大学医学部の学費は国が定めている標準額に基づいているからです。国の定める標準額は入学金が282,000円、そして1年間の授業料が535,800円となっています。そして大学側は、この国の定める標準額の120%以内で授業料を設定しなければならないというルールがあるため、私立大学の医学部と比べて学費が安くなるのです。

また標準額の副次的なメリットとして、大学ごとの学費の差がすくないことが挙げられます。そのため、大学を選ぶ際に学費の違いを気にすることなく、自分の学びたい学問を選択することができます。

また、公立大学では出身地によって入学金を抑えることもできます。出身地域が大学と同じ地域であれば、他県からの入学よりも最大50万円近く安くなる特別枠が存在することも頭の片隅に入れておくと良いでしょう。

2.医学部の学費はなぜ高いのか?

2-1.実験や設備にかかる費用

医学部は医学に関する基本知識、最新の技術を学びます。そのような学習や研究のための施設にはどうしても高額な費用が発生してしまうのです。

まず設備費として、様々な実験ができるような設備が必要になります。また、医学部で共に学ぶ生徒の数もそれなりに多いので、教室や実験室はスペースに余裕のある構造でなければなりません。そうした建物を建てるためには多額の費用がかかります。

さらに、実験室内にはたくさんの器具も必要になります。医学部では特に最新の技術を取り入れているため高価な設備や器具が多く、中には数千万円から億単位のものもあります。こうした設備を購入し、維持管理していくためには多大の費用がかかるのです。

加えて、医学部では消耗品にも多くの費用がかかります。医療に関わる実験材料の多くは使い回しができないものです。例えば、注射などは当然、一度使ったら破棄しなければなりません。また、破棄するにも業者に依頼する必要があるため、費用がかかります。100人に対して授業を行う場合、同じ器具でも100個必要になりますし、実験材料も100個、そして破棄するための費用も100個分かかるとなると、一度の実験でもかなりの高額な費用がかかることがわかります。

2-2.経営面でかかる費用

学費が高額になる理由の二つ目には2つの大学の経営的な資金が挙げられます

経営的な理由の1つ目は、機材費が高額なことです。大学病院では珍しい症例を扱うため、最先端の機材が整えられています。最先端の機材は高額であることはもちろん、スペースをとることや維持費がかかることも稀ではありません。このような高額な機材費を、私立大学では学費の一部に含むため国公立大学よりも高額になってしまうのです。

加えて、最新設備を使った専門的な検査や治療では、その設備に精通している医師や看護師が必要になります。医師や看護師は専門職ですが、その中でもさらに専門的な分野に精通した人を雇うためには高額の人件費がかかるのです。

経営的な理由の2つ目は、機材費を学費で一部負担することにあります。もし学生の人数が一般的な学部のように多ければ一人当たりの負担は少すくなくなりますが、医学部ではそれもできません。それは医療や医師の質が落ちないよう、国から医学部の学生の数に上限が設けられていることも原因の1つです。

3.学費を抑えて医学部に入学する方法は?

医学部の学費が他の学部と比べて高額になる理由について説明しました。では、学費を抑えて入学する方法は無いのでしょうか。どうすれば学費を抑えて入学することができるのでしょうか。

3-1. 国公立大を受験する

1つ目の方法は、国公立大学の医学部に進学することです。上記の医学部の学費の平均からも明らかなように、私立大学と国公立大学の医学部とでは、入学金や学費に何倍もの差があります。そのため、学費を抑える最も良い方法は国公立大学の医学部を目指すことです。

しかし、学費を抑えるために国公立大学医学部を目指す受験生はとても多く、挑戦する受験生も少なくありません。また国公立大学を受験するには共通テストと大学の独自試験を受験しなければなりません。つまり国公立医学部の入学は中堅私立医学部の入学よりも難易度が高いのです。一筋縄ではいきませんから十分に学習しましょう。

3-2. 奨学金を利用する

学費を抑える2つ目の方法は、奨学金や給付金の制度を利用することです。国公立大学だけでなく私立大学にも様々な形の奨学金や給付金の制度があります。給付の条件はさまざまですが大きく分けて「高校の学力」「両親の収入」のふたつがあります。条件をうまく利用すれば私立医学部に通うこともできるでしょう。

大学によっては、特待生制度を設けているところがあります。特待生になるためには優秀な成績が求められますが、もし最も待遇の良い特待生に選ばれた場合には、国公立大学医学部よりもさらに安い学費で私立大学医学部に進学することも可能です。こうした特待生制度は大学によって内容が異なるので、興味のある学校の制度を調べてみるのも良いでしょう。

また、地域枠入学という制度もあります。医学部を卒業した後に、指定の地域や病院、診療科で決められた年数勤務することを条件に、奨学金の返済が免除される制度です。この制度は医師が不足している地域に医師を補う目的で設けられました。地域枠入学制度を実施している大学は少なくありませんので、この制度を設けている大学を狙うのも良い方法かもしれません。しかし注意点として、地域枠で課された義務を果たさない場合は「違約金が発生する」ことや、「専門医の資格がとれない」ことがありますので条件をしっかり確認しましょう。

4.まとめ

医学部の学費が高い理由にはレベルの高い教育をすることや高額な設備費用を維持することなどに原因があることを確認しました。そのため、今後も学費が下がることは考えにくいでしょう。

今回紹介したような学費を抑える方法を活用して、医師への道をつかんでください。

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