2024.09.05更新日

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医学部受験の基礎知識をわかりやすく解説

医師になるには医学部を卒業して医師国家試験に合格することが条件となっています。即ち、医学部に合格し、医大生になることが医師になるには必要なことなのです。

そして医学部受験を有利に進めるためには、医学部に合格するための知識をもっておくことが重要になります。そこで今回、医学部に合格するための基礎知識をご紹介します。効率のいい勉強を行い志望校に合格してください。

医学部受験の基礎知識をわかりやすく解説

1.医学部受験とは?

医学部入試では特徴的な試験が多いです。まず、国公立大医学部に合格するためには共通テストと大学独自の試験を突破しなければなりません。共通テストの受験科目は6教科8科目と多く、合格に必要なレベルに達するには膨大な時間や努力を要します。大学独自の試験も大学ごと受験科目や出題傾向も様々なので受験する大学に応じた対策が必要になります。

私立大医学部は大学が独自で用意した試験を受けるのが一般的です。ただし、一部の大学では共通テストを利用することもできます。数学は数Ⅲまであり、英語では医療系の英単語の出題、生物や化学でも最近の研究で明らかになった内容の考察など、レベルの高い問題が出題される傾向があります。

そして、医学部の最大の特徴は、いわゆるペーパーテストに加え、面接と小論文が課されていることでしょう。医師になるには学力だけでなく、その志望動機や倫理観など医師への適性も問われます。そこで、ひとり一人を面接や小論文によってチェックしているわけです。

2.大学の種類と特徴

2-1.国公立大学

国公立医学部は概ね都道府県ごとに設置されている、国もしくは自治体によって運営されている大学の医学部です。
一つ目の特徴は学費が安く設定されていることです。国立大学は国が定めた基準に従って運営されていますので、大学ごとの学費の違いがほとんどありません。経済的負担が少ないことから受験生からの人気も高く、激しい競争となります。
二つ目の特徴はMD-PhDコースがあることです。一般的に医学部入学から博士号を取るまでには10年かかります。しかし、MD-PhDコースに進学し、在学中に大学院の教育課程を履修することで、7、8年で博士号を取得できるようになるのです。この制度は一部の私立大学でも行われていますが、多くは国公立大学で行われています。入学前からMD-PhDコースを決めて入学する形式や、入学後にコースを選択できる形式があります。興味がある方は大学のホームページなどから確認してみましょう。
三つ目の特徴は施設です。国立大学だと国から補助金などが支給されていますので、その資金を施設設備に利用できるのも特徴です。そのため、最新の医療機器や検査機器、研究開発用ツールなどが使える機会が多くなります。また、研究費の割当も高いので、高度な研究の実績が高く研究医として進むのに最高の環境が整っています。

2-2.私立大学

私立大学は民間運営の大学です。そのため、国公立大学よりも自由度が高く、一概に表現できないほど大学のカラーが大きく異なります。校内の雰囲気も大学ごと異なり受験生は自分の性格や将来なりたい医師のイメージに合わせた大学選びをしやすくなります。

キャンパスもバリエーションが豊かです。都心部の駅に近いところに医学部があり、都会生活を楽しみながら便利なアクセスを活用して大学に通える大学もあります。一方で、郊外の広々とした敷地に医学部を構え、落ち着いた環境で研究に集中できるようにしている大学も見られます。設備そのものの内容や新しさの違いも大きいので、各大学のホームページでその内容をチェックしてみましょう。このように、私立大学は国公立大学よりも大学ごとの違いが大きいので、じっくりと自分に合うところかを確認して選ぶ必要があります。

3.入試方式

国公立大学と私立大学では入試方式にも大きな違いがあります。その違いをしっかり理解した上で、適切な対策を講じなければ合格に近づくことはできません。国公立大学をメインに受験する、私立大学を専願にするなど早めに受験パターンを決めておくことも重要です。

3-1.国公立大学

ほとんどの国公立大学で、共通テストを一次試験として採用しています。その場合、6教科8科目全てが受験科目となりますので、幅広い対策をしなければなりません。医学部は理系科目以外の国語や社会の配点も高いことも特徴の一つです。また、全ての教科で8割以上の得点が必要とされています。一部の大学では共通テストを必要としない場合もありますが、受験校の選択肢を広げるためにも6教科8科目の対策を怠らないようにしましょう。

国公立大では共通テストは一次試験という扱いですので、一次試験の合格ラインを超えた受験者に二次試験の受験資格が与えられます。二次試験は大学ごとに傾向があるため、共通テスト対策とは別に大学ごとの問題傾向を分析し、有効な対策をしなければ合格することは厳しいでしょう。

また、ペーパーテスト以外にも面接と小論文が実施されます。それぞれの受験生の性格やコミュニケーション能力、倫理観などを判断するためのものです。小論文のテーマは様々ですが、大学ごとの傾向はあります。面接と小論文も合否に関わる重要な試験です。ペーパーテストと同様に十分な対策が必要です。

試験日程も特徴があります。国公立大学の入試日程は概ね前期と後期に分かれており。(中期を設定している大学も一部に存在します。)受験校を前期と後期で一校ずつ選べます。そのため、国公立大の入試では前期日程で1回、後期日程で1回と計2回のチャンスしかありません。

3-2.私立大学

私立大学では共通テストを利用することは少なく、大学ごとの入試を受験することが一般的です。受験科目も大学によって差はありますが、英語、数学、理科を受験科目としている大学がほとんどです。

私立大も国公立大と同様に、面接と小論文が実施されます。私立大学の場合、グループ面接を課す大学や、討論形式の面接など大学特有の出題傾向はあるため、早めの対策が必要です。

受験日程は国公立大とは異なり、1月中旬から3月まで大学ごとに日程が組まれており、1月中旬から2月上旬に集中しています。日程調節次第では10校以上の併願も可能ですので、工夫して合格の確率を上げましょう。

4.学費

4-1.国公立大学

国公立大学の学費は国が定めた基準に沿って決められているので、全ての大学がほぼ同じとなっています。そのため、大学を選ぶ際に学費の違いをあまり気にすることなく、自分の希望を優先した受験校、進学先を選択することができます。平均的な学費としては、一年で50万円から60万円、トータルで350万円くらいです。国公立大の学費は私立大の学費に比べ大幅に安く設定されています。そのため、一人暮らしをするための費用と合わせても、全体的な経済的負担が少なくて済みます。
また、奨学金などの学費補助や免除制度が充実しているのも特徴です。

4-2.私立大学

国公立大学と比較すると私立大の学費は非常に高額で大学による差も大きくなっています。そのため、平均金額を出すのは難しいのですが、その中央値はおよそ3,000万円にも及びます。
しかし、この値はあくまで参考にすぎません。実際、学費が高い私立大学上位5校だけの平均だと約4,200万円になるのに対し、学費の安い私立大学上位5校だけの平均だと約2,100万円になります。同じ医学部の学費であるのにも関わらず、倍近く違ってきます。
もちろん、私立大学にも奨学金制度や学費免除などの取り決めが用意されています。ただし、大学独自で定めているケースが多く、成績優秀者のみが利用できるなど制限もあります。経済的な事情を考えると、私立大学を希望する場合は、両親に事前相談しておく方が良いでしょう。

5.偏差値

5-1.国公立大学

国公立大学も私立大学も、合否判定の基準となる偏差値には大きな差はありません。ただし、合格へのハードルは高く、最低でも偏差値65程度が必要です。旧帝大と称されている大学を目指すには、非常に高いレベルが要求されます。徹底した受験対策をしないと合格するのは難しいでしょう。

また、概ね国公立大学は私立大学に比べ受験科目が多いので、合格難易度が数値以上に高いことがあります。合否判定の偏差値やランクだけを見て私立大学と同じ判断をするのは危険です。

5-2.私立大学

私立大学も偏差値が高いところばかりで、受験対策に打ち込まないと合格は厳しいでしょう。私立大学は共通テストが関係なく気軽に受験できるため、受験者数が多いことが特徴です。当然、受験者数の数だけ倍率が上がりますし、特に人気の大学では年によっては、国公立大学以上に合格の基準が高くなることがあります。

しかし、私立大学は偏差値帯で上、中、下の三段階に分けられます。下の偏差値帯は学費が高い反面、合格しやすいです。学費は高くつきますが、学力に自身のない場合は低い偏差値の大学を受験すると合格率がぐっと上がるでしょう。

6.まとめ

医学部を選ぶ際には、まずは国公立大学と私立大学の違いを理解することが大切です。

自分に合った大学選びは、合格に直結します。大学に出願する前に過去問を解いて、合格率の高い志望校を見つけましょう。

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